世界自然遺産・白神山地

世界遺産「白神山地」

 白神山地は、青森県西南部から秋田県北西部に裾野を広げ、折り重なるように峰々の連なる山地帯の総称です。総面積およそ13万haに及ぶこの地域の中核をなすのは、峰や沢を埋め尽くすように覆うブナの林。それも、世界最大級と折り紙つきの広がりを持つブナを主体とする原生的な落葉広葉樹林が小宇宙を形づくり、その懐深く抱かれるように、天然記念物のクマゲラやイヌワシなどをはじめとする、学術的にも極めて貴重な動植物の生態系が、静かな営みを続けているのです。

 白神山地は、古くから、人々に多くの恵みをもたらし、地域住民の生活や文化と深く関わってきました。豊富な木材資源は、木器などの加工材や炭焼きに利用され、山間部の集落にはマタギの暮らしがありました。人々は、ウド、ゼンマイ、タケノコ、キノコなどの山菜採りやアユ釣りなど、親しく白神と接しています。
 また、ブナ林は、天然の水瓶といわれるように優れた保水力を持っています。林床を通して地中に蓄えられた水は水量を調整されて流れ出します。
 白神を源流とする赤石川は、名瀑百選に選ばれている「くろくまの滝」の景観を生み、アユ釣りの名所、赤石渓流となって渓谷を縫っていきます。そして、イワナやヤマメの棲息する清らかな流れとなり、流域一帯の農耕地を潤し、日本海に流れ込みます。白神源流米(赤石米)や沿岸で獲れる魚も、白神の恵みといえるのです。

世界遺産への登録

白神山地エリア図 白神山地のブナを主体とする原生的な落葉広葉樹林を主体とする手つかずの自然環境は、全国的にも貴重なものとして認められ、平成2年3月に林野庁は「白神山地森林生態系保護地域」を設定、また、平成4年7月には環境庁が「白神山地自然環境保全地域」を指定しました。
そして、さらに政府は、その優れた自然を人類共通の財産として守り、後世に引き継ぐため、平成4年10月、白神山地の世界遺産登録をユネスコに申請し、翌5年12月にコロンビアのカルタヘナで開催された第17回世界遺産委員会総会で、白神山地の世界遺産登録(自然遺産)が正式に決定されました。
世界遺産として登録された区域は、林野庁の設定した森林生態系保護地域と全く同一で、青森県側は鰺ヶ沢町、深浦町、岩崎村、西目屋村、秋田県側は藤里町と5町村にまたがり、その面積は16,971haとなっています。その中で、鰺ヶ沢町の区域は最も広い面積を有しています。

白神山地・世界遺産登録区域町村別面積
町村名 面積(ha) 占有率(%)
鰺ヶ沢町 4,650 27.4
深浦町深浦地区
(旧深浦町)
3,364 19.8
深浦町岩崎地区
(旧岩崎村)
755 4.5
西目屋村 3,858 22.7
(青森県計) (12,627) (74.4)
藤里町 4,344 25.6
(秋田県計) (4,344) (25.6)
16,971 100.0

世界遺産登録までのあゆみ

1972年11月16日 世界遺産条約(正式名称「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」)が、フランスのパリで開催された第17回ユネスコ総会で採択される
1990年3月29日 林野庁が白神山地に森林生態系保護地域を設定
1992年6月18・19日 衆参両議院において、世界遺産条約の締結を承認
1992年6月26日 世界遺産条約の批准を閣議決定
1992年7月10日 環境庁が白神山地を自然環境保全地域に指定
1992年9月4日 文化庁、環境庁、林野庁の3庁が世界遺産(自然遺産)の候補地に「白神山地、屋久島を選定したい」と発表
1992年10月1日 政府は、白神山地と屋久島を、我が国の自然遺産の第1候補地としてユネスコに申請
1993年12月9日 コロンビアのカルタヘナで開催された第17回世界遺産委員会総会において、屋久島とともに白神山地の世界遺産登録が正式決定

関連情報