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施政方針

▽平成22年度 施政方針

 私は、長谷川前町長の突然の逝去のあと、昨年12月27日より町長の職に就任させていただくことになりました。

 今、町政運営が困難を極めている中で、新たに町政の舵取りを担う、その責務の重さを感じているところであります。

 長谷川前町長は、町職員として32年有余にわたり勤務され、社会教育をはじめ、水産業、観光商工の振興や福祉の充実に尽力されました。その後、平成8年3月から平成10年12月までは町議会議員として活動、平成11年4月には町長選挙に初挑戦し当選、以降、3期10年有余にわたり町のトップとして、「人づくりはまちづくり」の堅い信念のもと、豊かな発想と識見、そして実行力を持って町勢発展のため尽力されました。

 地方分権時代到来の折、これまでの行政主導のまちづくりから、住民と行政が協力連携する「協働のまちづくり」の重要性をいち早く訴えてこられました。まさに、長谷川町政の代名詞とも言われるまちづくりの姿であり、その象徴とも言えるのが各地区公民館への職員配置であります。行政が積極的に地域の中に入り、特色ある地域活動の支援に努めるとともに地域課題の解決に取り組むなど、協働のまちづくりの土台を築いたのであります。

 そしてまた、精力的に取り組まれたのが行財政改革であります。国の三位一体改革の影響もあり、厳しさを増す町の財政状況を早くから町民に説明し、情報の共有を図られるとともに、県内では先駆けて事業仕分けを実施したほか、町有施設への指定管理者制度導入、職員の定員適正化、人件費の削減など、財政再建に向けて徹底した取組を進められました。

 さらに、海の駅「わんど」の整備に代表されるように、農業や漁業など地場産業の振興にも手腕を発揮されるとともに、少子対策などにも力を注がれました。そして、平成17年10月には、県内の自治体としては初めて国立大学法人弘前大学と地域連携協定を締結するなど、産学官連携による地域再生の道筋を築かれました。

 長谷川前町長は、地方に厳しい逆風が吹く中、大胆な発想力と行動力を持って、「行財政改革の推進」「協働のまちづくりの推進」「地域再生」の政策の三本柱を軸に数多くの施策を展開し、多くの町民からの支持を受け、また、その手腕は町内外からも高く評価されているところでありました。

 役場職員、町議会議員、そして町長と、まさに生涯を町勢発展のために捧げたと言っても過言ではなく、その残した功績は誠に大きなものがあり、あらためて深く敬意を表する次第であります。

 豊かで活力ある町の再生を目指し、数々の礎を築き、さらにその動きを加速させようとしている最中の突然の逝去でありました。鰺ヶ沢町にとって、あまりにも大きな損失であります。

 しかしながら、この町政の歩みを止めるわけにはまいりません。私は、長谷川町政を継承し、町再生に向けた歩みを確実に進めてまいりたいと考えているところであり、町民の生活を第一に考え、精一杯努力してまいる所存であります。

 また、私がこれまで40年間にわたり携わってきた企業経営の中で培ったノウハウや経営感覚、そして3期10年余の町議会議員としての経験を町政運営に生かし、議員並びに町民各位のご理解とご協力を頂きながら、職員一丸となってこの難局を乗り切ってまいりたいと考えているところであります。

 

◎22年度の施政…

 それでは、本議会の開催にあたり、平成22年度の施政について、申し述べさせていただきます。

◆◆町の状況◆◆

 さて、今さら申すまでもなく、地方は今、少子高齢化の進行に加え、地域経済の長期低迷などにより、多くの自治体は厳しい行政運営を余儀なくされています。

 もちろん、我が町を取り巻く状況も同様であり、とりわけ、ここ数年は財政的に極めて厳しい状況にあります。

 主力である農業や水産業においては、就労者の高齢化や担い手の不足などが深刻化し、商工業及び建設業においても需要の伸びが見られず、地域経済の低迷が続いております。さらに、就労の場を求め若者の町外流出が続き、少子高齢化、過疎化が一層進行するという悪循環に陥っている状況にあります。町はますます活力が失われ、まさに元気がないと感じているところです。

◆◆政策の柱◆◆

 私は、今こそ町民の皆様の力をお借りし、町民の皆様と一緒になって、鰺ヶ沢町に活気を取り戻し、そして時代の変化に的確に対応できる地域社会を作ってまいりたいと考えております。

 このため、私は「元気あふれる町再生」をスローガンに掲げ、地域住民が安心し、安定した生活ができるよう、長谷川町政と同様、政策の3本柱として、

  • 「財政健全化を目指す行財政改革の推進」
  • 「住民の声と力を生かした協働のまちづくりの推進」
  • 「豊かで活気あふれる地域再生の推進」

を掲げ、そして町長選挙の際、町民の皆様にお約束をした「財政の健全化と町の活性化」「子どもの笑い声が聞こえるまちづくり」「自主自立の農水産業の振興」に向け各施策を積極的に展開してまいりますとともに、「町長給料の半減」を実行致します。

◆◆基本方針◆◆

 それでは、次に政策の3本柱それぞれの基本方針について申し上げます。

◆行財政改革の推進

 はじめに、1つ目の柱、行財政改革について申し上げます。

 町の財政は、ここ数年極めて厳しい状況に置かれています。財政再生団体への転落は何としても回避すべく、さらなる財政対策を講じていかなければなりません。

 このため、新年度予算については、引き続き町債発行の抑制と職員の適正な定員管理による人件費の抑制のほか、企業会計への繰り出しの見直しなど歳出削減の方策を講じ、政策的な経費も大幅に抑え、前年度比2.9%減の64億8,500万円の予算を編成致しました。

 一方、歳入においては、税収の伸び悩みと地方交付税における事業費補正の減額等により、財源不足を解消できず、やむなく2億4,000万円の赤字を計上するに至りました。

 当初予算において、赤字を計上するのは4年連続となりましたが、財政健全化判断比率を基準内に抑えるため、財政運営計画を堅持しつつ、1億8,000万円の起債の繰り上げ償還を実施するとともに、事務事業の見直しによる経費節減策や町有資産等の売却など増収対策を進め、決算額においては圧縮が図られるよう、引き続き財政対策を講じ、年度途中であっても厳正な予算執行に努めてまいります。

◆協働のまちづくりの推進

 次に、2つ目の柱、協働のまちづくりについて申し上げます。

 ご承知のとおり、協働のまちづくりについては、前長谷川町政の大きな政策の柱でありました。平成12年度から各地区公民館を拠点に進めてきた人づくり、地域づくりの取組には、大きな成果が見られているところであります。さらに、地域が抱える問題や課題を解決していくために、今年度からは各地区公民館内に地区振興センターを置き、協働のまちづくり体制の強化を図ったところであります。

 このような体制による取組は、県内においてもまれであり、注目されているところでありますが、私も極めて必要性の高い取組であると考えております。

 よって、引き続き各地区振興センターを基点として、協働の取組を推進してまいりますとともに、地域側、行政側双方に、協働のまちづくりのための体制づくりを強力に進めてまいります。

◆地域再生の推進

 次に、3つ目の柱、地域の再生について申し上げます。

 私は、町民が生活する上で最も基本となる「安心と安定」をキーワードに掲げ、地域の再生を目指してまいります。

 先にも申し上げましたが、少子高齢化の進行により、高齢者世帯、一人暮らし世帯が多く見られるようになり、集落によっては社会的共同生活の維持が困難な状況に至ることが予想されています。

 このため、日々の暮らしの不安を取り除き、安心して生活できるよう、防災、福祉面においても、地域住民同士が助け合い、行政が支える仕組みづくりに取り組んでまいります。

 また、安定した暮らしを送るためには、相応の収入が必要となります。

 鰺ヶ沢町は海、山、川、そして歴史、文化など地域資源の宝庫であります。それらを十分に活かし、農水産業はもとより、観光、商工の振興、さらに若者の雇用機会を創出し、町民所得の向上につながるような取組を進めてまいります。

 また、弘前大学との地域連携を大いに活用しながら、地域の特性を最大限生かした、小さな産業おこしを推進し、その地域ならではの活性化、再生へつなげてまいります。

◎各般の施策…

 それでは、次に、元気あふれる町再生を目指した、各般の施策について申し上げます。

▼農水産業の振興

 まず、農水産業の振興について申し上げます。

 町内で生産される農産物や水産物は数量、種類ともに豊富でありますが、より一層の振興を図るためには、安心・安全で良質の素材にさらに付加価値を付け、積極的に販売していく必要があります。しかしながら、全国的に競争が激しい中で優位に進めていくことは容易ではありません。このため、地域産物の高付加価値化や商品開発、さらに販売促進に向けた取組を一層強化するために、推進体制の充実・強化を図るとともに、専門的なノウハウを有するアドバイザー等の受け入れも検討しながら取り組んでまいります。

 また、引き続きアスパラガスの産地化やサヤインゲン(ステイヤー)の作付け推進への支援、冷凍設備導入によるアユの販売拡大、さらにナマコやアワビの養殖研究を支援してまいりますとともに、新たに導入される米戸別所得補償制度を適切に活用し、農業所得の向上、産業の振興に努めてまいります。

 一方、ここ数年サルによる農作物等への食害が拡大しており、大きな問題になっております。このため、引き続きサルの捕獲をはじめモンキードッグの導入を検討し、鳥獣被害防止対策を強化してまいります。

▼観光・商工の振興

 次に、観光・商工の振興について申し上げます。

 鰺ヶ沢町には世界自然遺産の白神山地をはじめレジャー施設、名勝、歴史、文化など多くの地域資源を有しております。今年12月の東北新幹線新青森駅開業を一つの契機とし、観光、食、体験など、地域資源を融合させた滞在型観光を推進するとともに、関係団体等と協力連携し、町内の二次交通の確立やガイドの養成、農家民宿の導入拡大や体験メニューの再構築など、地元の受け入れ体制の整備を図りながら、町内への誘客活動を推進してまいります。

 また、その一環として県の生業づくりモデルプロジェクト支援事業を導入し、食材のブランドイメージを構築し、海の駅「わんど」を核とした効果的なPRを推進して、県内外からの交流人口を拡大させ、外貨獲得と域内循環の活性化、新たな雇用創出を目指してまいります。

 一方、今なお経済状況や雇用情勢が非常に厳しいことから、国が打ち出した景気浮揚対策としての交付金事業を繰越事業として実施するとともに、ふるさと雇用や緊急雇用などの対策を活用し、地域経済の活性化、雇用の創出につなげてまいります。

▼保健・福祉・医療の充実

 次に、保健・福祉・医療の充実について申し上げます。

 全ての人々が、生涯を通して「健康」で「安心」して生活を送れるようにするためには、多岐にわたる課題に対応した、総合的かつ一貫した取組が必要であります。

 このため、引き続き各種検診の受診率向上と確実な精密検査の受診、医療の確保、高齢者及び障害者の福祉対策の充実を図るとともに、各種社会保障制度の適切な運用に努め、保健、医療、福祉が一体となった包括ケア体制の一層の充実を目指してまいります。

 一方、国民健康保険事業については、長引く経済不況等により低所得者の加入割合が高まり、これに伴う医療費の増加と保険料負担の増大が進み、国保財政を大きく圧迫しております。このため、今後、保険料の見直しについても検討してまいります。

 次に、少子対策の一環として、今年度新たにスタートした、母親の産前産後のケア、利用者の希望に沿った子どもの預かり保育などを行う「母子支援センター事業」については、サービス内容の充実を図るほか一層のPRに努め、子育て支援対策の充実に努めてまいります。

 また、西海岸地域における基幹的病院として、医療サービスを提供している町立中央病院については、医師の不足などによる患者数の減少、さらには診療報酬の引き下げなどにより、極度の経営難に陥っている状況にあります。

 このため、国のガイドラインに基づく「改革プラン」を実行すべく、引き続き常勤医の確保をはじめ増収策を講ずるとともに、外部委託をはじめ事務事業等の合理化を推進し、病院経営の安定化、医療サービスの安定的かつ継続的な提供に努めてまいります。

 なお、平成25年度末の開院を目指して進められている、つがる西北五広域連合による自治体病院機能再編については、計画どおりの推進が図られるよう努めてまいります。

▼教育環境の充実と向上

 次に、教育環境の充実と向上について申し上げます。

 まず、学校教育においては、児童生徒数の減少と複式学級数の増加、さらに校舎の老朽化や耐震性の問題等を考慮し、学校教育環境の向上を図るため、平成23年4月より、現在7校ある小学校を2校に、また2校ある中学校を1校に、学区の再編を行うこととしております。

 このため、新年度においては受け入れ校となる校舎や付帯設備等の改修やスクールバスの運行等、学区再編に向けた準備に万全を期してまいります。

 一方、社会教育については、社会の変化や地域課題に柔軟に対応できるよう、意識の啓発や人材等の育成を図るとともに、スポーツや文化芸術等、住民の多様な学習ニーズに的確に対応できるよう、地域に根ざした生涯学習の推進に努めてまいります。

 なお、学区再編に伴い閉校となる施設については、その活用について検討してまいります。

▼消防・防災行政の充実

 次に、消防・防災行政の充実について申し上げます。

 災害に強いまちづくりを進めるため、自主防災組織の設置支援や、その実働性を高めるほか、地域住民との連携協力により総合的な体制整備を図るとともに、日頃の防災に対する意識向上に努めてまいります。

 一方、多様化する災害に的確かつ迅速に対処するため、救急・救助にかかる設備等の充実に努めるほか、署員の確保、資質向上に努め総合的な消防力の増強を図ってまいります。

 また、平成24年度末の消防本部統合を目指す青森県消防広域化推進計画の推移を見守り、適切に対応してまいります。

 さらに、地域に根ざした消防活動を担う消防団については、団員の高齢化や減少により機能の低下が懸念されています。このため、地域バランスを考慮した団員の確保、部の統合等も視野に入れた実効ある体制整備を検討し、消防団機能の強化を図ってまいります。

▼生活環境の整備、充実

 次に、生活環境の整備、充実について申し上げます。

 まず、生活関連道であります町道については、安全で快適な交通を確保するため、道路の維持補修に努めてまいりますとともに、冬期間においては効率的な除雪事業を行い、交通の確保に努めてまいります。

 また、町営住宅については、引き続き鳴戸団地の建て替えを実施するとともに、今後の町営住宅の建て替えや若者の定住を促進する住宅の確保についても、その整備手法等を含め検討してまいります。

 次に、水道事業については、衛生的な水の安定供給と健全な経営に向け努力してまいりますとともに、上水道と簡易水道の統合については、そのメリットを見極めつつ推進してまいります。

 なお、配水施設や水道管等については老朽化が進んでいることから、計画的な設備の更新を可能とするため、将来的な維持管理費の確保対策として水道料金の引き上げも検討してまいります。

 また、公共下水道、農業集落排水については、その加入率の向上に向け積極的なPRと加入のお願いに努めてまいります。

 なお、公共下水道の整備については、新年度も工事を実施してまいりますが、その後の工事の実施については、財政状況や事業制度の内容、収支見通しなど、総合的な見地から検討し判断してまいります。

 さらに、地域の公共交通を支える路線バスの運行については、地域住民の需要と現状のサービス内容を検証し、地域交通のあり方について検討、見直しをしてまいります。

▼七里長浜港・高速交通の整備促進

 次に、七里長浜港の整備促進については、これまでの計画を見直し、平成20年度から29年度までの10カ年で、南防波堤を88メートル延伸する計画に基づき、今年度も整備拡充を図ることとしております。

 また、今年度においては県産木材が初移出されましたが、貨物取扱量のさらなる増大を目指すとともに、関係機関、諸団体と連携し、県内外の企業等に対しポートセールスを行ってまいります。

 さらに、関連するインフラの整備として、「津軽自動車道」、「一般国道101号鰺ヶ沢道路」及び「西津軽能代沿岸道路」等の整備促進、さらに「県道弘前鰺ヶ沢線」の質の高い規格による道路整備等について、引き続き国、県に対し強力に要請してまいります。

▼企業誘致の推進

 最後に、企業誘致の推進について申し上げます。

 これまで、誘致を検討している「研究施設等廃棄物処分事業」については、早ければ22年度内に、実施計画の変更が認可される見通しとなっております。

 その際には、その内容を確認し、町民に対しての説明会や勉強会等を開催してまいりますとともに、検討委員会を設置し、多方面からの意見をもとに、本事業を誘致すべきか否か慎重に判断してまいります。

 また、国策事業や県内外企業等の状況調査等を進め、若者を中心とした雇用拡大が図られるよう企業の誘致を働きかけてまいります。

◎終わりに…

 終わりに、現在のまちづくりの指針となっている第4次町長期総合計画は平成22年度を以て計画期間が満了致します。そのため、新年度において次期長期総合計画の策定作業に着手することになります。

 今、町は極めて厳しい行財政運営を強いられておりますが、行政と町民がお互い知恵を出し合い、明るい希望を持って、「元気あふれる町再生」の姿を描き、実行してまいります。

 このため、どうか、議員各位並びに町民の皆様には、これまで以上のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、施政方針と致します。

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